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映画『ビッグ・アイズ』を見てきました [日記]

どこで見たんだろう・・・この大きな目の女の子。

はっきりとは覚えていないけど、吸い込まれそうな悲しい瞳が私の記憶のどこかには存在してた。
一度見たら忘れられないインパクト。

私もその瞳に吸い込まれるように映画館へ行ってきました。

http://bigeyes.gaga.ne.jp/

饒舌で、商魂たくましい夫と、シャイで実直で、でも才能あふれる妻・・・。

夫は妻の描いた『ビッグ・アイズ』を自らの作品として世に送り出し大成功を収めるも、
次第に妻はその嘘に耐えられなくなり、二人の関係は破滅へと向かっていく。

妻、マーガレットの心の葛藤が痛いほど伝わってきました。

最初は自分の名前を世に出すことはさほど重要ではなかった。
実際お金も必要だったし、自分の名前は知られずとも自分の絵そのものが認められることで満足していたのかもしれない。

でも、「この子たちは私の分身なの」という彼女の言葉が象徴しているように、
芸術家、表現者としての良心、自尊心が自分を追い込んでいく。

芸術家にとって作品は自分そのもの、そこで嘘をつくことは自分を否定することと一緒だ。

そんなマーガレットの心境を描いた印象的なシーンが二つあった。

夫のウォルターが、「一流の画家たちはみな大傑作を持っている。僕の大傑作はどこだ?
早く作ってくれ」とマーガレットにけしかける。
マーガレットは冷めた目で「自分の作品を大傑作なんていう一流の画家はいないわ」と答える。

もうひとつは、ウォルターが今まで描いてきた(と思っていた)風景画は実はすべて
他人の作であり、サインを上塗りしただけだったということにマーガレットが気づいたとき。
夫が自分の作品の作者だと偽った時よりもはるかに大きな衝撃を受ける。
腰も抜けるほどに・・・。

きっとウォルターは2流ではあっても画家であり、アーティストであり、自分の芸術の理解者であると
信じていたからこそ、彼の嘘も許容してきた。
でも実は2流の画家ですらなかった、絵など全くかけないただの素人だった。
芸術に対する深い造詣も全く持ち合わせていなかった。
マーガレットは結局は『ビッグ・アイズ』の女の子たちと同じ、深い孤独の闇に舞い戻ることになるのだ。

芸術家が孤独なのはもう宿命のようなものなんだろうな。
その上どこまでも純粋だから、だまされて傷つくことも数知れず。

いろいろと考えさせられる映画でした。
芸術家たちはこうしてみんな神に近付いていくんですね。





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